金沢の金箔:種類・特徴・使い方ガイド。キラキラアート

箔ポイント使い。:°ஐ..♡ *

こんにちは、絵描きのひつじです。

普段、キラキラしたアート作品を制作していて、作品のポイントとして箔をよく使用しています。今ではなくてはならない相棒みたいな存在になりつつあります。

初めて金箔を手にした時の感動は今でも忘れられません。まるで手の中に太陽の光を閉じ込めたような、その神秘的な輝きに心を奪われました。


輝きが違う。

光の角度によって表情を変える箔の美しさ、そして筆で描くことでは決して表現できない独特の質感と存在感。作品に一枚の箔を加えるだけで、まるで魔法をかけたように作品全体が生き生きと輝き始めるのです。

この魅力的な箔の世界、特に日本が世界に誇る金沢の金箔について、その奥深い魅力と可能性を皆さんにお伝えしたくて、この記事をまとめました。初心者の方でも、きっと箔の世界に足を踏み入れたくなることでしょう。一緒に、この美しい輝きの世界を探検してみませんか?

金沢と金箔の歴史

金沢は日本の金箔生産量の約99%を占める、まさに「金箔の都」なんです。加賀百万石の城下町として栄えた金沢では、なんと400年以上もの間、金箔製造の技術が大切に受け継がれてきました。藩政時代から続く職人さんたちの匠の技と、金沢特有の湿度や気候条件が奇跡的に組み合わさって、世界でも類を見ない薄さと美しさを誇る金箔が生み出されているんです。

金箔の製造は、金を約1万分の1ミリメートルという想像を絶する薄さまで叩き延ばす「箔打ち」という技術によって行われます。この技術は長年の経験と熟練した技が必要で、金沢の職人さんたちが代々受け継いできた、まさに生きた文化遺産なんですね。

金箔製造の伝統技術

縁付き(えんつけ)- 伝統的な製法

雁皮紙という特別な和紙を使用し、その紙の縁(境界)を利用して箔を作る伝統的な製法です。なんだか詩的で美しい名前ですよね。

工程はこんな感じ

  1. 雁皮紙を特殊な灰汁で丁寧に処理
  2. 紙の縁と縁の間に金を挟む
  3. 何千回もの箔打ちを根気よく繰り返す
  4. 紙の縁が自然な境界となり、美しい箔ができあがる

職人さんの手作業による温かみのある仕上がりで、伝統の技術による深い味わいが感じられます。

断切り(だんきり)- 現代的な製法

一方で、現代技術を取り入れた効率的な製法もあります。機械を使って均一な厚さの箔を大量生産できるんです。

工程はこちら

  1. 現代的な人工膜を使用
  2. 機械による精密な圧延
  3. 均一な厚さと品質の実現
  4. 効率的な大量生産が可能

均一な品質と安定した供給、そしてコストパフォーマンスの良さが魅力です。

金箔の種類と特徴

さて、ここからが本題です!金箔にはいくつかの種類があって、それぞれに個性があるんです。

24金箔(純金箔)

金の純度99.9%以上の最高級金箔です。一切の合金を含まないため、最も純粋で美しい輝きを持っています。

輝きの特徴:最も深く豊かな黄金色で、永遠に変色しません。光の角度によって変化する表情は、まさに「究極の輝き」と呼べるでしょう。

どんな時に使う?:最高級の仏壇、重要文化財の修復、超高級工芸品など

純金箔(本金箔)

金の純度が高く、とても美しい輝きを持つ金箔です。通常、金の含有率は94%以上で、残りは銀や銅などの合金が入っています。

輝きの特徴:深みのある黄金色で、時間が経っても変色しません。光の角度によって表情を変える、まさに「本物の輝き」を楽しめます。

どんな時に使う?:仏壇、神社仏閣の装飾、高級工芸品、美術品の修復など

洋金箔(真鍮箔)

銅と亜鉛の合金である真鍮を使用した箔です。金箔に比べて価格が手頃で、初心者さんでも扱いやすいのが嬉しいポイントです。

輝きの特徴:金箔に近い色合いですが、やや黄色味が強めです。時間とともに若干の変色が起こる場合があります。

どんな時に使う?:装飾品、工芸品、練習用などに最適

赤金箔

金に銅を多く混ぜた合金箔で、赤みを帯びた美しい色合いが特徴的です。

輝きの特徴:温かみのある赤金色で、和の雰囲気を演出するのにぴったりです。

どんな時に使う?:漆器、屏風、襖絵などの和風作品に

プラチナ箔の特徴

プラチナ箔は、貴金属のプラチナを薄く延ばした箔で、金箔とは違った上品な輝きを持っています。

どんな特徴があるの?

  • 銀色の美しい光沢
  • 金箔よりも硬くて、扱いが少し難しい
  • 変色しにくくて、長期間美しさをキープ
  • 高価格帯の素材

どんな時に使う?:高級装飾品、宝飾品、特別な工芸作品などに使われます

銀箔とその魅力

純銀箔

純度の高い銀を使用した箔で、美しい銀色の輝きが魅力です。

輝きの特徴:クールで上品な銀色の光沢。光の反射がとても美しくて、モダンな印象を与えてくれます。

ちょっと注意が必要:空気に触れると黒く変色する性質があるので、保護膜やコーティングが必要なんです。

色付き銀箔(カラー箔)

現代では、銀箔に様々な色を付けた「カラー箔」も人気を集めています。これがまた、とってもかわいいんです!

かわいい色のバリエーション

  • ピンク箔:優しくて華やかな印象、女性らしい作品に最適
  • ブルー箔:爽やかで涼しげ、モダンアートに人気
  • グリーン箔:自然な美しさで、和風作品にもよく合います
  • パープル箔:神秘的で高貴な印象を演出
  • レッド箔:情熱的で力強い表現にぴったり

これらの色付き箔は、樹脂コーティングや特殊な着色技術によって作られていて、従来の金箔・銀箔では表現できない現代的な美しさを楽しめるんです。

各種箔の耐久性について

箔を使う上で気になるのが、どのくらい長持ちするかということですよね。それぞれの特徴を見てみましょう。

24金箔の耐久性

最高レベル:純度99.9%以上の24金箔は、あらゆる箔の中で最も安定していて、永久に変色や劣化しません。化学的に完全に安定した状態で、何世紀にもわたって美しさを保持してくれます。

金箔の耐久性

最高レベル:純金箔も化学的にとても安定していて、酸化や腐食に対して極めて強い耐性を持っています。適切に施工された金箔は数百年にわたって美しさを保つことができるんです。

銀箔の耐久性

中レベル:銀箔は空気中の硫化水素などにより黒変する性質があります。そのため、保護膜やコーティングが必要になります。

対策:専用の保護剤を使用することで、数年から数十年の美しさを保つことが可能です。

プラチナ箔の耐久性

高レベル:プラチナは金に次ぐ安定性を持っていて、変色や劣化に強い特性があります。

洋金箔の耐久性

中レベル:真鍮は時間とともに酸化して、色調が変化する場合があります。屋外使用では特に注意が必要です。

カラー箔の耐久性

低〜中レベル:着色剤や樹脂の種類によって耐久性が大きく異なります。UV耐性のある製品を選ぶことが重要ですね。

接着剤の種類と選び方

膠(にかわ)系接着剤

特徴:伝統的な接着剤で、動物の皮や骨から作られます。
適用:金箔、銀箔の伝統的な貼り付け
メリット:自然素材、修復が可能
デメリット:湿度に弱い、技術を要する

漆系接着剤

特徴:漆を基材とした接着剤
適用:高級工芸品、伝統工芸
メリット:美しい仕上がり、耐久性
デメリット:乾燥に時間がかかる、高価

現代的な接着剤

金沢の金箔専門店のオンラインショップを覗いてみてください。お店オリジナルの接着剤を販売していたり、用途に合わせて様々な種類があります。

最近、クッツキMAXという面白い名前の接着剤を手に入れました。水性で、薄めずに原液のままつかえます。乾いても色が淡いグレーなので、扱いやすくておすすめです。

さらに、箔を保護するプロテクトも手に入れました。ちなみにこのプロテクトは螺鈿を加工する時にも使えるそうです。

実際つかってみて螺鈿が割れませんでした!

螺鈿についてはまた別で、記事にしたいと思います。

金箔貼りに必要な道具まとめ

— 本格派とポイント使い、両方のスタイルで —

✨ 本格的に広い面に貼る場合

☑️雁皮紙(がんぴし)

箔を保護・運ぶ・押さえる。くっつかず破れにくい和紙。

☑️竹刀(たけとう)/カッター

✂️ 箔を好みのサイズにカット。

☑️箔箸(はくばし)

箔を手で触らずにつかむ専用の箸。

☑️真綿(まわた)

☁️ 箔をやさしく押さえて定着させる。

☑️綿布(めんぷ)

炙 余分な箔をやさしく払う布。

☑️刷毛・筆

☑️接着剤(膠・アクリルメディウムなど)

金箔の下地に使う。半乾きで貼るのがコツ。

広い面に美しく貼るには、このセットがあると安心!

わたし(ひつじ)のスタイル|ポイント使い派

「広い面に貼るわけじゃない。

小さな面やアクセントに、ちょこっと金箔を使いたいだけなんです。」

そんなスタイルなら、

✅必要なのはたったこれだけ

☑️竹刀(たけとう)

✂️ 金箔をカットして調整するだけ。

☑️雁皮紙(がんぴし)

金箔を守る・運ぶ・そのまま貼るときにも便利!

接着剤はアクリルメディウムなど、普段の画材で十分代用可!

☑️刷毛、筆

まとめ

・広い面に貼るなら本格的な道具が必要

・ポイント使いだけなら「たけとう+雁皮紙」で十分!

・大事なのは:

風を避ける。夏は扇風機は要注意。ふわっと飛んでぐにゃぐにゃになります。

 ⚡️ 静電気に注意

直接手で箔に触らない

箔は湿度や温度変化に敏感なため、以下の点に注意して保存してください:

  • 直射日光を避ける
  • 湿度を適切に管理する(50-60%程度)
  • 密閉容器での保存
  • 静電気対策

まとめ

金沢の金箔は、長い歴史と伝統に支えられた世界に誇る工芸品です。

24金箔の永久的な美しさから、カラー箔の現代的な表現まで、様々な選択肢があります。

伝統的な「縁付き」技術から現代的な「断切り」技術まで、それぞれに特徴があり、用途に応じて選択できます。適切な接着剤と道具を使用し、基本的な技術を身につければ、

初心者でも美しい箔工芸を楽しむことができます。まずは扱いやすい材料から始めて、徐々に技術を向上させながら、この美しい伝統工芸の世界を探求してみてください。

またの機会に、筒をつかった古典技法に挑戦しようとおもいます。ブログに書く予定なのでお楽しみに〜。それではまたお会いしましょう。

ひつじでした!